「2016年以降の途上国の開発に関する資金をどのように調達するか」。実に重たいテーマを掲げた「第3回開発資金国際会議」(International Conference on Financing for Development: FFD3)が、エチオピアの首都アディスアベバにある国連アフリカ経済委員会(UNECA)で7月13日から16日まで開催されました。日本の市民社会からは、市民ネットワーク for TICADから2名、「動く→動かす」から1名が参加しました。

また、国連の「持続可能な開発」の枠組みで設けられた「メジャー・グループ」(非国家アクターが議論に参加できる枠組み)の中で、ユースおよび子どものメジャー・グループ(Major Group of Children and Youth: MGCY)では、日本の若者リーダーが活躍するなど、新たな展開もありました。

この会議は、2002年の第1回(メキシコ・モントレー)、2008年の第2回(カタール・ドーハ)に続く3回目の会議で、開発資金調達に関する分析や基本方針を取り決めることを目的とするもので、数千人の人々が参加、多くのサイドイベントが開催されるなど、アフリカで開催された国際会議の中でも最大規模のものとなりました。

こうした会議では、各国政府は、それぞれの主権国家の利益を代表して交渉します。一方、市民社会は、主権国家の枠を超え、貧困問題についてグローバルに考え、現場の視点で行動するという立場で交渉にコミットしています。「市民ネットワーク for TICAD」や「動く→動かす」もその立場から会議に参加しました。

本会議では最後までぎりぎりの交渉が行われた結果、「アディスアベバ行動アジェンダ(Addis Ababa Action Agenda)」が採択されました。市民ネットワーク for TICADとしても、エチオピアにおいて、開発資金調達に関する基本方針が合意されたことを高く評価します。

一方、途上国における貧困層の状況を改善し、より格差が少なく、持続可能な世界を作っていくうえでは、懸念すべき事項も残っています。

(1)税制に関する多国間組織の創設は達成できず

第一に、「アディスアベバ行動アジェンダ」にもある通り、これからの途上国開発の財源で最も重要なのは、途上国自身の国内財源(「国内資金動員」:Domestic Resource Mobilization (DRM))です。その中で、特に公的資金の面からは、途上国政府が得る税収が重要です。ところが、途上国の政府の徴税能力が弱いこと、また、多国籍企業が各国の税制の違いや徴税能力の不十分さなどを利用して行う「合法的」な「税逃れ」が拡大していることなどから、途上国は十分な税収を上げることができていません。こうした問題にグローバルに対処するため、現在国連に置かれている「税制関連の国際協力に関する国際専門家委員会」の権限を強化し、政府間組織を創設すべきとの提案が途上国や市民社会から出されましたが、先進国の反対により創設は達成できませんでした。

(2)金融取引税など、国際連帯税が言及されず

第二に、以前から、政府開発援助(ODA)を補完する革新的な資金創出メカニズムについて、金融取引に薄い税率を課すことによって相当額の公的資金を国際的に調達できる「金融取引税」をはじめとする「国際連帯税」の創設が主張されてきました。これについて、今回の「アディスアベバ行動アジェンダ」では、先進国・新興国双方の反対によって盛り込むことができませんでした。

(3)開発のための民間資金についての議論が十分深まらず

第三に、経済開発の財源として民間資金の重要性が叫ばれました。しかし、民間資金は中所得国の経済開発には流れても、低所得国の貧困層にはなかなか裨益しません。一方で、大規模な経済開発は、格差の拡大や、大規模公共工事による貧困層の生活破壊などにつながる可能性もあります。これについて、民間資金の導入による負の影響を避けつつ、貧困層の裨益効果をどう高めるか、という課題については、十分な議論がなされませんでした。

今回の会議は持続可能な開発目標を実施するための開発資金の流れについて議論されたもので、市民ネットワークfor TICADも引き続き今後の動きを注視していきます。