10月5日(午後2時~3時30分 於:聖心女子大学グローバル共生研究所)、世界の人びとのためのJICA基金セミナー第2回を開催しました。今年7月にニューヨークで開催されたSDGsに関するハイレベル政治フォーラムでのTICAD関連サイドイベント並びに、8月にモザンビークで開催された第6回アフリカ開発会議(TICADVI)フォローアップ閣僚級会合の報告を行いました。

国連ハイレベル政治フォーラムについては、世話人の稲場雅紀さん(アフリカ日本協議会)から報告があり、このフォーラムの意義、各国の市民社会が、政府の報告書とは別にそれぞれに調査した独立評価レポートを発行していることなどの紹介がありました。また、アフリカにおけるSDGs推進に向けて、国やセクターを超えて登壇していただいたサイドイベントの成果についても言及がありました。アフリカの開発の文脈において、「アジェンダ2063」はアフリカ主導で策定されたアフリカによるアフリカのためのアジェンダであるとの説明が印象に残りました。DSCN4877

続いて、8月にモザンビークで開催されたTICADVIフォローアップ閣僚級会合について、世話人の高橋郁さん(ウォーターエイドジャパン)と米良彰子さん(ハンガー・フリー・ワールド)から報告がありました。本会合については、西サハラ問題に関する混乱に伴い、この閣僚級会合の主要な目的であったはずの進捗状況の報告セッションなどが、開催されませんでした。また、本会合での日本のスピーチでは、民間セクターを通した開発や投資の活発化について多くの時間が割かれ、「海洋秩序の維持」が強調されたとの報告でした。SDGs(持続可能な開発目標)やアジェンダ2063、「誰も取り残さない」という文言に触れることはなかったことは大変残念でした。IMGP3274

サイドイベントでは、市民ネットワークforTICADとアフリカ側のパートナー「Civic Commission for Africa (CCfA)」によって企画されました。約40名ほどが参加し、共催機関のほか、現地のNGOからの参加もありました。サイドイベントのテーマとして、第1部では必須サービスに焦点をあて、医療サービスや薬へのアクセス向上、および食料問題にかかわる問題提起がおこなわれたとの報告がありました。第2部では、G5(サヘル5カ国)での合同軍事の介入などにも触れ、人権、民主主義、ガバナンスの向上が和平プロセスに不可欠である点が指摘されたとの報告がありました。多岐にわたるトピックが2時間のサイドイベントに含まれ、若干あわただしいプログラムになったものの、市民社会としての見解を主張する機会になったようです。IMGP3279

再びアフリカ日本協議会の稲場雅紀さんより、今回の会合で発生した問題と混乱についての経緯が説明されました。1点目はこの会合に参加するためにビザを申請した日本のNGOの1人の方のビザが発給拒否を受けたこと、そして2点目がモロッコと西サハラの代表団との衝突に関するものでした。1点目については、これまでTICAD参加のためにビザを申請して拒否されたことはなく、前代未聞の事態であったこと、これに対して、市民ネットワークforTICADとして、3度にわたり要請文を提出したこと、市民社会としての発言のなかでこれに言及したことについて説明がありました。またいわゆる西サハラ問題については、国連や欧州を含む近年の国際社会の対応を含めた解説がありました。

最後に、SDGs政治ハイレベルフォーラム並びにTICADVIフォローアップ閣僚級会合の全体のまとめとして、経済成長、経済発展による開発の枠組みに対して、今後、市民社会は代替案を提示できるのか、という問いを提起し、締めくくられました。質疑応答では、ビザ発給問題について、またサイドイベントでのフランス語の運用やアジェンダ2063についての質問があげられました。

平日の貴重な時間を割いてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。進行を務めた近藤明さん(ACE)、発表者のみなさま、お疲れ様でした。