10月20日(午後2時~4時)、JICA地球ひろばにて「世界の人びとのためのJICA基金」第3回を開催しました。今回は多様なセクターによる連携のなかでも、企業や元企業の皆さまによる企業の技術を生かしたプロジェクトとNGOの連携事例をテーマとして取り上げました。
まずはじめに、ウォーターエイドジャパンの高橋郁さんがトイレの利用に関する世界の状況や、トイレを利用できないために起きる野外排泄のリスクなど、途上国でのトイレの重要性を説明してくださいました。しかし、トイレの普及は「個人の問題」ととられえられたり、行政の担当部署が明確でない、などの理由があり、他の開発プロジェクトに比べ遅れてきました。今も23億人がトイレへのアクセスがありません。一方で、より地域の文化に会った魅力的なトイレを作ることで、単に建設するだけでは終わらない「使いたくなるトイレ」が可能になるとのことで、その事例を紹介してくださいました。
次に、トイレを含む建築材料・住宅設備機器を販売する株式会社リクシルの小田茜さんにご登壇いただき、現在、途上国の多くの国で普及し始めているトイレ「SATO」をご紹介いただきました。国や地域の生活や文化によって、いくつもの異なる「SATO」があり、また、耐久性があるというお話もありました。
続いて、特定非営利活動法人環境ベテランズファームと公益財団法人ジョイセフに発表していただきました。ジョイセフからは、船橋周さんに、ザンビアの高い妊産婦死亡率を削減するため、マタニティハウスや関連施設を建設し、村の人びとも自分たちで資金を創出する仕組みを見つけ出して活動が発展している事例をご紹介いただきました。
次に元日産で人気車の開発に携わってきた中島繁治さんが、自転車で発電をするというコンセプトを実現するため、試行錯誤を繰り返したとの発表がありました。最初の試作品に対して「重い」との感想を現地から受けたあと、ハブダイナモを改造し、他の企業や同じ団体の協力者に支援をあおぎながら「人力発電自転車」の実現に至った経緯をご紹介くださいました。
質疑応答では、トイレを利用したメタン発酵についてや、NGOと企業が協力して事業を行うときの資金源について、またアフリカ地域内での「SATO」の普及に関するものがありました。時間のギリギリまで質疑は続き、またご登壇いただいた皆さまにも最後まで丁寧に答えていただきました。
足元の悪いなか、セミナーにご参集いただたみなさま、誠にありがとうございました。発表された皆さまには、資料と発表映像の準備を含め、お時間をいただき御礼申し上げます。第4回もぜひ楽しみにしていただければと思います。