2017年6月7日午後2~4時 於:原宿クリスチャンセンター

 ケニアのNGO、ケニアSDGsフォーラムのフローレンス・シェブオ・ムリさん、韓国のNGO、アフリカ・インサイトのホ・スティーブン・ソンヨンさんを迎え、原宿クリスチャンセンターにてシンポジウムが開催されました。短い告知期間でしたが、平日午後にも関わらず予定の30名を超えてNGOや研究機関、学生の皆さまなどが参加してくださいました。

冒頭で総合司会の高橋郁さん(ウォーターエイドジャパン/TICAD市民フォーラム世話人)から、シンポジウムを主催した市民ネットワークfor TICADの説明があり、また、シンポジウム開催の趣旨として、アフリカとの関係が各々で進んでいる東アジアにおいて、市民社会として国を超えてアフリカとの連携を探る可能性の意義についても述べられました。

20170607ブログ用_florence最初にフローレンス・シェブオさんが登壇し、ミレニアム開発目標からSDGsへの移行の経緯、SDGsの概要について説明しました。さらに、アフリカにおいても、より安定、継続した取り組みがSDGsを通して達成されることがセクターを問わず議論されていること、特にSDGsの目標達成には市民社会、学術界、民間などの関与が不可欠であることが指摘されました。また、2016年に設立したケニアSDGsフォーラムについての説明では、アジェンダ2063やTICADなどSDGs以外の枠組みやイニシアチブとの連携が必要である点、市民レベルでの協力が成功のカギを握る点などが指摘されました。最後に、SDGsの啓発活動はコミュニティレベルで行われなければならないとし、コミュニティでの啓発活動の写真も披露されました。

20170607ブログ用_steven続いて、韓国のNGOアフリカ・インサイトの代表、ホ・ソンヨンさんが登壇されました。韓国とアフリカとの関係についてこれまでの歴史を振り返った後、現在の韓国―アフリカ関係の説明が行われました。日本では、1993年にTICAD (アフリカ開発会議)が始まりましたが、韓国では現在、外務省主導の韓国アフリカフォーラム、企画財政部主導の韓国アフリカ経済協力会議、産業通商資源部主導の韓国アフリカ産業フォーラム、農村振興庁の韓国アフリカ食料農業イニシアチブが平行し、それぞれの管轄の下で開催されていることが紹介されました。また、ODAや海外ボランティアも少しずつ増える傾向にあり、航空券連帯税についてはすでに導入されている一方、アフリカに関する理解不足も散見され、政府によるアフリカ政策も明確な方向性が見えにくいこと、公平なアフリカとの関係を構築するための啓発活動なども重要であることが指摘されました。最後にSDGsの達成はあまりに壮大な目標に見えるものの、不幸な人がいたら自分も幸福を感じることはできない、という基本的な精神に根差すものではないか、というコメントがありました。

20170607ブログ用_masaki3番目に稲場雅紀さん(アフリカ日本協議会/市民ネットワークfor TICAD世話人)が登壇し、まずはホ・ソンヨンさんの発表を受けて、市民としてのアジアの連帯の可能性について言及しました。さらに、TICADのこれまでの経緯をまとめ、現在も、市民社会の参画が会議の傍聴、一部発言に限られていることを指摘し、政策決定からモニタリングまで、より広範なプロセスへの関与が課題であることが述べられました。

最後の30分間では、前川 龍太さん(ADRAジャパン/市民ネットワークfor TICAD世話人)をモデレーターに、パネルディスカッションと会場からの質疑応答が行われました。

20170607ブログ用_panelSDGsをいかに草の根に広げていくかという問いに対して、フローレンス・シェブオさんは地域の言語に訳すことに加えて、村での議論をSDGsとつなげ、各コミュニティレベルでの達成を重視することが必要であると述べました。ホ・ソンヨンさんは、貧困を売りにした寄付集めは人々の感情の消耗にしかならず、SDGsのような長期的な目標達成のためには、一時的な同情ではなく地球市民として一人ひとりが考える必要があり、そのための啓発活動にも力を入れているとコメントしました。

質疑応答では政府開発援助の汚職の問題も指摘されました。フローレンス・シェブオさんからは、支援をする側、受ける側のどちらもそうした援助と汚職を利用しているという現実があり、少なくとも支援をする側の国民には、人々に届かない資金供与を拒否する力があるはずだとの指摘がありました。また、草の根の人々の声をどのように確認すればよいか、という質問に対しては、すべてのプロセスに初めからコミュニティの人々が加わっていることの重要性などが指摘されました。予定の時間を10分過ぎて終了いたしましたが、終了後も登壇者と参加者の方々で名刺を交換したり、談笑したりする様子が見られました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。