3月19日13時~14時半、「アフリカにおける環境と人々の生活」セミナーを開催いたしました。同日午前中、来場者はオープニングセッションでアフリカをイメージで感じ、ブルキナファソ料理を食べてアフリカを舌で感じました。そのような中で、アフリカの人々がどのように環境と共存しているのか、気候変動が話題となる中で、どのような生活をしているのか、日本人の生活との共通性はどのようなものがあるか。このような問いに関する和やかなセミナーとなりました。
はじめに星野智子氏(環境パートナーシップ会議)より、2015年9月の国連総会にて採択された持続可能な開発目標(SDGs)と、その一つの柱となった環境について概説した後、SDGsに関する各国の取組みや、温暖化が世界の生態系や資源に与える影響に関する説明がありました。また、SDGsの達成に向けて地域でも様々な課題に直面する日本において、多様な主体でパートナーシップを作り、地域創生に取り組む必要性について言及されました。
続いてミティカ・ムウェンダ氏(ケニア、パンアフリカ気候正義同盟(PACJA/ Pan African Climate Justice Alliance))より、アフリカにおける気候変動の絵影響や、PACJAを中心とするアフリカ市民社会の気候変動に向けた取組みに関するプレゼンテーションが行われました。気候変動はアフリカにおいて、特に脆弱な人々の健康や生活、食料生産や水の確保、安全保障問題に影響を及ぼします。特に天候への影響は洪水や干ばつをもたらし、飢餓や自然災害、貧困の原因となっていることを、エチオピアの事例や具体的な数値を示しながら説明されました。また、アフリカにおける市民社会としては、アフリカ45か国以上の参加団体からなるネットワーク組織PACJAが環境と気候変動の正義を求め、国際会議におけるオブザーバーとしてアフリカの声を届けるほか、環境に取り組むための資金確保に努めている旨言及されました。また、同氏は気候変動に向けて有効なガバナンスを確立させることの必要性や、先進国と途上国が相互に具体的な行動をとることの必要性についても言及されました。
タンザニアで長年研究をされてきた岩井雪乃氏(早稲田大学)は、姓粒多様性という観点からアフリカの環境と人々の生活について問題提起されました。アフリカは生物多様性のホットスポットではあるものの、近年森林面積の減少やゾウの密猟や狩猟、象牙の押収等が進行な問題となっています。また、生物多様性を守るための自然保護区も多くが管理計画のもとで利用され、土地収穫も住民の生活へ影響を及ぼしています。保護と利用、二者択一では解決されない問題を住民とともに解決することの必要性について、タンザニアの具体的な事例を用いて分かりやすい説明がなされました。
最後にパネルディスカッションと質疑応答では、排出量取引の失敗の原因や、気候変動に取り組むことに関する先進国と途上国の責任について等が議論されました。気候変動は先進国の責任も問題となりますが、現在、生活をするすべての人々が主体的に取り組む必要もあります。環境という世界共通で、私たちの生活に密接にかかわる問題について、アフリカや日本、すべての人々が主体的に取り組むこと、また、市民が働きかけを行うことの重要性について、登壇者や来場者と活発な意見交換が行われました。