市民ネットワーク for TICADの公式ページです。

ピラー2「質の高い生活のための強靱な保健システム促進」

「保健」は今回のTICADにおいて、3つの主要テーマの一つに位置づけられる中心的課題となりました。本会合ではエボラ出血熱のような公衆衛生危機への対応能力、予防や備えを強化するための強靭な保健システムの構築、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進などが討議されました。

安倍首相は開会演説で、アフリカで基礎的保健サービスの恩恵を受ける人を3年間で200万人にし、また、5億ドル以上の国際機関への資金拠出をして、結果として30万人の命を救うとしました。また、感染症対策の専門家や政策にかかわる人材の養成も表明しました。

サイドイベントにおいても、日本、世界銀行、WHOなどが協働で策定した「アフリカにおけるUHC」、JICAによる「食と栄養のアフリカ・イニシアティブ(IFNA)」の発表がありました。これらは日本政府の保健分野への高いコミットメントの現れであり、市民社会としても高く評価しています。

市民社会は、TICAD本会合の前後に、複数回にわたって提言書を提出しました。UHCは普遍的であるべきで、周縁化されたり、保健サービスへのアクセスが経済的・社会的・文化的な障壁により阻害されたりしている人々、女性や女児など脆弱な立場にいる人々を置き去りにしてはいけない。またUHCは、強く、しなやかで、かつ持続可能で包摂的な保健システムでなくてはいけないと訴えました。さらにUHCの実現に向けてアフリカ諸国が「アブジャ宣言」で約束した、国家予算の15%を保健に投資することを守ってほしいと強く訴えました。水と衛生の問題に関しては、全ての女性が衛生的な設備にアクセスできるようにすることが、女性のエンパワーメントの観点からも重要だと訴えました。

保健分野で活動する日本の市民社会は、アフリカの市民社会とともに、ナイロビで複数のサイドイベントを実施したほか、本会合のテーマ別会合でも発言しました。各国政府、企業、国連機関がそれぞれ2、3分で発言する中、市民社会としても与えられた2分の間に、「UHCは基本的人権として、全ての人々がその恩恵を受けるべきだ」と強く訴え、ジェンダーに基づく暴力、早婚や強制婚、性と生殖に関する健康と権利、安全な水と衛生、HIV/エイズや結核などの疾病に対する対策についても訴えました。

%e3%82%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%96%e7%99%ba%e8%a8%80

保健分野で様々なコミットメントがなされたことは歓迎しつつ、実施に向けた課題もあります。例えば、約束された人材育成の「質」です。半日の研修会に参加しただけでも「エンパワー」されたと見なすのか、何をもって人材育成と言うのか、疑問が残ります。また約束された人材育成の「数」も、本当に達成できるかが問われます。

今後、実施のモニタリング評価に市民社会は、積極的に、厳しい目をもって関わりたいと思います。さらに、市民社会が実施プロセスそのものに関わることも期待されていますが、どのように関わっていくかは大きな課題です。市民社会は、約束されたコミットメントが、アフリカの市民にとって真に有効で効果的になるよう考え、行動を起こしていくことが求められています。

(公益財団法人ジョイセフ アドボカシーグループチーフ 福田友子)

TICAD VI情報

お気軽にお問い合わせください。

TICAD VI情報

PAGETOP
Copyright © Afri-Can 市民ネットワーク for TICAD All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.