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MDGsからSDGsへ:ミレニアム・プロミス/ケニア・シアヤ地域におけるミレニアム・ビレッジの経験を通して(実施報告)

final-ticad-vi-logo-1202016年8月27日~28日の2日間、ケニアの首都ナイロビにて開催された第6回アフリカ開発会議(TICADVI)の公式サイドイベントとして、ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)は、ミレニアム・プロミス・ケニア(MPK)と共同でセミナーを開催いたしました。セミナーは、「市民社会ネットワーク for TICAD」によるNGOセミナーシリーズの一環として、28日の午前9時から10時半まで、ライコ・リージェンシー・ホテルにて行われました。

セミナーの内容は、ケニアの西部シアラ県にあるミレニアム・ビレッジ、サウリ村のチームリーダーであるMs. Jessica Masiraとヘルスコーディネーター兼医師のMr. Donald Apatの2名が講師となり、2005年から開始されたミレニアム・ビレッジ(10か国80村)第一号としての10年間の経験、とりわけ保健衛生面での実績を話してくださいました。サウリ村からは、特別ゲストとしてHIV陽性の母親2名とその子どもたち2名(HIV陰性)も参加し、母親たちがそれぞれの体験談と、プロジェクトの成果として子どもたちがHIV陰性を保っていることなどを、涙ながらに語ってくださり、聴衆の感動を誘いました。サウリ村ではコミュニティ・ヘルス・ワーカーが妊婦のHIV検査を実施し、陽性の場合は治療を開始します。誕生直後の赤ちゃんも治療され、生後18か月間は母乳のみで育てられるのです。そのほかの飲食をするとHIVに感染する危険性があるためだそうです。HIV陽性の母親たちは定期的に集まり、お互いに励まし合いながら前向きに生活しています。

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サウリ村チームリーダーのMs. Jessica Masira

筆者も2014年秋にサウリ村を訪れた際、HIV陽性の母親から生まれた子どもたちが生後18か月を経て、HIV陰性であることが証明された「卒業式」に偶然参加することができました。30組ほどの夫婦とその子どもが一組ずつ名前を呼びあげられ「卒業証書」を与えられ、ダンスをして記念写真を撮るというセレモニーでした。最後には、Jessicaと筆者が大きなケーキにカットを入れ、参加者全員でケーキを食べながら喜びを分かち合いました。その時、”I am free”というTシャツを着ていたよちよち歩きのFaithちゃんが、1年半後に元気な姿でセミナー会場を走り回る姿を見て、感無量となりました。

さて、セミナーの聴衆は日本人のほかアフリカの方々も半数程度を占め、講義の後には多くの質問がありました。ミレニアム・ビレッジのコストパフォーマンスに関する質問に対して、Jessicaからは村人一人当たりの予算が110ドルという答えがありました。また外務省のTICADVI大使兼アフリカにおける地域経済共同体(RECs)・平和・安全保障担当大使である藤田順三大使も参加され、冒頭に挨拶してくださいました。そして最後にはHIVに対する偏見が根強い地域で、陽性の方々が公の場で体験を語ってくださるのは非常に有意義なことだと感想を述べてくださいました。
サウリ村では10年にわたる包括的な分野(農業、教育、保健衛生、インフラ、起業ほか)での介入がなされ、様々な変化を遂げています。当初から見守っている筆者の印象としては、特に村人に心理的な変化が表れ、援助に頼ることから自立への転換が進められていることが感じられます。

ミレニアム・プロミス・ジャパン
理事長 鈴木りえこ

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